豊島龍山との関係

 奥野一香と豊島龍山はよくライバ ルとして見られていますが、いろい ろと交流をしていたようです。関西 の棋士であった、高浜禎の覚え書き 帳に氏の所蔵していた駒の目録が載 っておりますが、その中には奥野一 香の選んだ駒木地に豊島龍山が盛り 上げをした金龍書真筆の盛り上げ駒 が載っています。
 また、豊島龍山の書体名と奥野の それを比べると大変に面白いことが わかります。「菱湖」に対する「奥野 菱湖」や「錦旗」に対する「奥野錦 旗」は良く知られていますが、他に もたくさんの似た書体名が存在しま す。「鳴鶴」に対する「明鶴」、「金龍」 にたいする「錦龍」、「真龍」に対す る「新龍」などがあります。相手の 字母は尊重しても、それが流行れば 同じようなものを作って販売したい のが人情というもので、それをわか った上でお互いを尊重しあい許しあ っていた仲なのでしょうか。